勤続１３年、元警察官で元刑事のえりです。私が刑事として経験してきたリアルをお届けできればと思い、執筆しました。
レイプなどの性犯罪で悩む方達やその家族、友人の助けになれればと思います。
性犯罪とは
性犯罪とは、不同意性交、不同意わいせつ等の総称です。
わいせつ物頒布や盗撮も含まれますが、ここでは、刑事だった私が実際に取り扱った不同意性交、不同意わいせつについて説明します。
不同意性交とは、いわゆる「レイプ」を指し、性交、肛門性交、口腔性交、体の一部や物を膣や肛門に挿入する行為のことをいいます。
不同意わいせつとは、わいせつ目的で体を触ったり、自己の性器を触らせたりすることをいい、いずれも、被害者が同意していないにもかかわらずに行為を行った場合に該当します。
被害者の思い
性犯罪の被害に遭った方の中には「私が悪いんだ」という考えを持ってしまっている人が多くいます。
「自分があのときあの場所に行かなければ被害に遭わなかった」
「自分がもっと注意していれば」
「もっと強く拒否していればよかった」
と自分を責める人が多いのですが、それは間違いで、無理矢理してくる人が１番悪いのです。
また、家族や友人はどうやって接したら良いのか悩まれる方もいますが、貴方一人じゃないことを行動や話の中で伝えていくのがベストです。
被害者の中には、「今はこの問題に触れて欲しくない」というときもあるので、探りを入れることなく、そっと寄り添いながら「いつでも話を聞くから、言いたくなったときに話をしてね」と伝えることが大切です。
心と身体の不調
力の差があるので、女性が被害者になることが多いですが、男性も被害者になることがあります。
実際に私が取り扱った事件では、面白半分でレイプされた男性被害者もいました。
被害者の中には、
・涙が止まらない
・自分の身に起きたことだと理解すると心が壊れてしまうので、他人事のように事件を捉える（解離状態）
・事件のことを話すことができない
・一人で眠れない
・事件当時のことがフラッシュバックする
・被害現場や被害場所に似た場所に近寄れない
等、身体や心に人それぞれの症状がでます。
でも、こんなに辛い症状がずっと続く訳ではありません。
時間はかかりますが、いつかは治ります。
刑事は、被害者が立ち直るために、犯人を捕まえて安心させるというのが任務です。
でも警察の力だけでは及ばないことも多いので、支援機関を頼りましょう。
住んでいる地域には、警察と連携している病院や被害者支援センターが必ずあります。
支援担当者は、同じような悩みを持つ人から話を聞いて寄り添ってきているベテランばかりなので、遠慮せずにまずは電話相談から。
事件捜査
次に、警察が事件を認知した後の流れを簡単に図にしてみました。
警察が事件を認知してから、
・警察の対応を水色
・検察の対応を紫色
・オレンジは裁判
で表してみました。
それぞれ解説していきます。
病院受診
警察が事件を認知した場合、基本的にはまず捜査員の付き添いで婦人科などの病院を受診します。
発生からかなりの日にちが経っているときには病院を受診しないこともあります。
病院では、膣等の性器や肛門、他の身体に怪我がないか、精液の有無等を先生に協力してもらいながら診察、採取を行い、必要に応じてアフターピルの投薬や性病検査を行なってもらいます。
このとき、他の患者さんに悟られることのないよう、病院側と捜査員が連携しながら対応していきます。
基本的に性犯罪による病院受診は全額公費負担なので、被害者が支払いをすることはありません。
稀に公費を目当てに、レイプされたと虚偽（ウソ）の申告をする方もいますが、捜査していけばバレます。
事件捜査
病院受診と同時進行で、他捜査員は犯人を捕まえるために鑑識活動や防犯カメラの確認等、様々な捜査を行なっています。
犯人がわかった後、必要な司法書類を作成し、逮捕の必要性が認められれば、逮捕状を請求し、逮捕します。
任意とは
逮捕の必要性がないとなれば、任意捜査となり、取調べ等を行い、検察に書類送致をします。
これがいわゆる送検です。
逮捕
逮捕後、２４時間以内に検察に犯人の身柄付きで送致を行い、検事が勾留する必要があると認めた場合には、留置場等に勾留されて取調べを受けます。
勾留
勾留は最大２０日間となり、その間に捜査員は必要な司法書類を作成、検事に追加で送致します。
送致された書類や、検事が直接犯人の取調べを行い、最終的に検事が起訴か不起訴かを判断します。
起訴・不起訴
起訴されれば、犯人は裁判を受けることになり、不起訴であれば釈放となります。
以上がザックリした司法手続きの流れです。
逮捕の要件は？不起訴って無罪？など、様々な疑問が出てきますが、それはまた別の機会に私見を含めて記事にしようと思います。
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