「女性警察官になりたい」
でも体力に自信がない･･･
何から始めればいいのかわからない･･･
と不安を感じている人も多いですよね。
私も警察官になる前は同じような悩みを抱えていたので、よくわかります。
この記事では、13年間勤務した元女性警察官である私の経験をもとに、女性が警察官になるために必要な準備や試験対策、現場のリアルをわかりやすく解説します。
特別な才能がなくても大丈夫です。あなたが一歩踏み出す勇気を持てるように、現場経験者だからこそ伝えられる「合格への近道」をお届けします。ぜひ最後までご覧ください。
女性警察官の仕事について
女性警察官の仕事について、2点まとめてみました。
- 交番勤務から刑事まで幅広く活躍できる
- 男性警察官と大きな違いはない
それぞれ詳しく解説します。
交番勤務から刑事まで幅広く活躍できる
女性警察官の仕事は、一見「女性が担当する特別な業務がある」と思われがちです。
でも実際は交番勤務やパトロール、事件・事故の初動対応、刑事課での捜査など、男性警察官と同じように幅広い業務を担当します。
私自身、警察学校卒業後、交番勤務からスタートして、最終的には刑事として仕事をしていました。
交番時代は、110番通報を受けて現場へ急行したり、地域を巡回して住民の方から相談を受けたりと、まさに地域に密着した仕事内容でした。
その後、警ら隊と呼ばれる職務質問専門部隊で凶器所持や薬物所持などの事件を取扱い、留置場の看守を経て、刑事課へ異動しています。
刑事課では主に被害者や女性子どもからの事情聴取や鑑識活用などで事件捜査に携わってきました。
現場の最前線から捜査まで、女性でも意欲次第で幅広く活躍できます。
男性警察官と大きな違いはない
「女性だからできる仕事は限られているのでは？」と不安に思う人もいます。しかし実際に13年間勤務して感じたのは、良くも悪くも、女性警察官と男性警察官の仕事内容に大きな違いはほとんどないということです。
交番勤務でもパトロールでも、事件対応でも、基本的には同じ任務を担当します。時には犯人を制圧しなければならなかったり、暴れている人を保護したりしなければなりません。
しかし基本的には1人で対応することは少なく、周りの同僚たちと協力しながら対応します。また基本的な制圧方法や警棒や拳銃などの操作は警察学校で教わるので、不安になる必要はありません。
女性警察官になるには？まずやるべきこと6つ
女性警察官になるために、まずやるべきことを6つまとめました。
- 受験する都道府県を決める
- 各都道府県の採用基準を確認する
- 警察官採用試験に向けて勉強する
- 体力作りのために運動する
- 面接準備をする
- 適正試験の準備をする
それぞれ詳しく解説します。
受験する都道府県を決める
警察官を目指すうえで最初にやるべきことは「どの都道府県の警察官として働きたいか」を決めることです。
警察官は、各都道府県によって採用されている立場なので、地域によって採用試験の日程や採用人数、倍率が違います。
地元で働きたい人もいれば、都会に出てみたいという人もいるでしょう。
勤務地によって、自身の役割や仕事内容、生活スタイルが変わってくるので、長期的なビジョンを立てて慎重に検討します。
中には、警視庁で10年ほど働いていたものの、家族の都合で地元警察を受験し直した人も一定数いますが、受験し直す必要があります。
「この土地で定年まで生活する！」くらいの気持ちで受験先を決めましょう。
各都道府県の採用基準を確認する
受験先を決めたら、次に必ず確認したいのが「採用基準」です。
年齢や学歴、視力、色覚、身体条件など、警察官になるためにはいくつかの基準がありますが、都道府県によって細かな違いがあります。
特に重要なのが年齢です。最近では35歳未満に引き上げられた都道府県も多いですが、未だに30歳未満や33歳未満としているところもあるので、必ずチェックしましょう。
また身長がおおむね150cm以上としている県もあります。しかし必ず150cmなければならないということはありません。数センチの誤差は見逃してもらえることが多いので、身長が足りないと諦めることはないですよ。
実際に一緒に働いていた先輩の女性警察官も150cmもないと言っていましたが、バリバリ活躍していました。
また二次試験前など、健康診断の結果の提出を求められるので、持病がある人や数値が悪い人は病院で治療をしましょう。
警察官採用試験に向けて勉強する
警察官採用試験に合格するためには、教養試験の対策が欠かせません。
出題されるのは一般教養と呼ばれる範囲ですが、範囲がかなり広いため、早めに取り組み始めましょう。
特に一般知能分野の「判断推理・数的推理」は慣れが必要です。ここは苦戦する人が多いですが、参考書などで何度も解いて、問題の傾向を把握しましょう。
私は本屋さんに売っている参考書を何冊か購入し、ひたすら繰り返していました。最近ではオンライン講座やアプリもあるため、活用すると良いかもしれません。
まずは過去問に触れ、試験の傾向をつかみ、自分の弱点を把握するところから始めると、無理なく学習を進められます。
体力作りのために運動する
体力試験に備えて、自宅でできるような筋トレや軽いランニングを行いましょう。私も毎日夕方にランニングをしていました。
私が受けた試験では、20mシャトルランがありました。ランニングは苦手で、受験している人の平均より少し上くらいでしたが、無事に受かったので、秀でている必要はありません。
ただし重要なのは、運動が嫌いな人はそもそも警察官に向いていないということです。
警察学校に入れば、運動、勉強、運動、勉強、運動･･･というように、運動からは逃れられません。ランニングや筋トレだけではなく、柔道や剣道、逮捕術など運動をしない日はないので、運動が苦手、嫌いという人はとてもツライです。
だからといって、運動部じゃなければならないのかというと、そうでもありません。実際に同期には吹奏楽部などの文化部出身者も多くいます。
得意ではないけれど、嫌いじゃないという人は問題ありません。
ジムに行ったり、毎日10キロ以上ランニングしたりする必要はないので、できる範囲から始めてみてくださいね。
面接準備をする
面接は採用試験の中で最もやっかいです。
警察官として必要な「使命感」「協調性」「ストレス耐性」などが見られるため、事前の準備が合否を大きく左右します。
まずは「なぜ警察官になりたいのか」「どんな場面で役立てるか」を自分の言葉で整理しましょう。さらに、受験する都道府県の特徴や治安状況を踏まえて志望動機を作ると説得力が高まります。
また自身の受験する都道府県が行っているオープンキャンパスや体験会のようなものがあれば、積極的に参加したり、情報収集を行いましょう。
例えば、
- オープンキャンパスで女性警察官との座談会に参加した
- 県警のYouTubeチャンネルを見た
こういった採用業務に関することは、採用担当者が力を入れているポイントなので、面接でアピールすると好印象です。
また面接では圧迫面接が行われるケースも多いです。複数人いる面接官の中で、ものすごく威圧的で偉そうな人が1人います。
私が面接を受けたときは、回答を鼻で笑われたり、見下した態度だったのを覚えています。これはわざとなのですが、私は落ちたと思って泣いて帰りました。
何を言われても動じないよう、模擬面接を行ったり、話す内容を録音して振り返るといった練習を何度も行って、面接に慣れましょう。
適正試験の準備をする
警察官採用試験には、人物性や職務適性を判断する「適性試験」が含まれることがあります。
内容は心理検査や性格診断に近く、対策が難しいと言われることもありますが、基本的には正直に回答すれば問題ありません。
ただし、嘘をついて回答が矛盾するとかえって評価が下がる可能性があります。
事前に一般的な適性検査の形式を知っておくと、当日の緊張を抑えやすくなります。適正試験の参考書なども販売されているので、活用しましょう。
実体験から伝える元女性警察官のリアル
13年務めてきた実体験をもとに、女性警察官のリアルをお伝えします。
- 正義の味方で最後の砦
- 女性警察官だからできること
- 警察官時代つらかったこと
正義の味方で最後の砦
警察官は正義の味方です。
これまでの人生の中で、警察に通報したという人はどれくらいいるでしょうか。実際、110番通報は毎日、数百件以上かかってきます。
通報の大半は交通事故になりますが、残念ながら事件の当事者になってしまった人もいます。
多くの人は困ったことがあったとしても、まずは自分でなんとかしようと思いますよね。いろいろ試行錯誤した結果、自分ではどうしようもなくなって警察に通報してきます。
最終的に助けを求めるのは警察。つまり最後の砦になるわけです。
その中でも特に女性警察官は、男性より話しやすいので、被害者担当になるケースが多いです。
私も数多くの被害者や相談者と会ってきました。中には重要事件の被害者もいます。被害者のためになる仕事、責任は大きいですが、素晴らしい仕事です。
女性警察官だからできること
性犯罪事件は、基本的に女性や子ども被害者になることが多いので、必然的に女性警察官が担当することがほとんどです。
犯人が男だった場合、男性警察官では女性被害者は萎縮してしまったり、恐怖を覚えることが多いですし、被害者に付き添って病院へ行ったりもするので、女性の方が適任です。
これは性犯罪に限らず、暴力事件などでも同じで、女性の方が安心できると言われます。
犯人には厳しく接しなければなりませんが、女性特有の柔らかい雰囲気や共感力などを活かして被害者対応にあたってきました。
基本的には男性と同じ業務にあたりますが、女性特有の業務も多くあるので、やりがいがあります。
警察官時代つらかったこと
13年間警察官として勤務してきましたが、中でも大変だったのは、遺族対応です。
警察官はご遺体の対応をする機会が多く、遺族への説明などの対応をすることが多くあります。
今でも忘れられないのは、列車に飛び込んだ高校生です。私の勤めていた警察は田舎で車社会なので、列車への飛び込み事故はそれほど多くありません。
初めての列車飛び込み事故で、見るも無惨なご遺体でした。他にも数件同じようなご遺体を見てきましたが、全て鮮明に覚えています。
何よりつらいのが、ご両親への説明と事情聴取です。号泣している親御さんもいれば、放心状態で自分ごとと認識できない方もいました。
親御さんの気持ちを考えると居た堪れません。
詳細は下記の記事にまとめているので、興味があればぜひお読みください。
女性警察官のメリット・デメリット
ここでは女性警察官になるメリットとデメリットをまとめてみました。
女性警察官になるメリット
最大のメリットは、安定性と社会的意義の高さです。
公務員として給与・福利厚生が整っており、結婚・妊娠・育児といったライフステージの変化があっても継続して働きやすい環境があります。
また、性犯罪や家庭内トラブルなど、女性であることで被害者が心を開きやすく、現場で必要とされる場面が多いのも大きなやりがいにつながります。
さらに、交番・刑事・生活安全・警備など、活躍できる部署が幅広く、自分の適性に合ったキャリアを選べる点も魅力です。
女性警察官のデメリット
一方で、女性警察官には特有の大変さもあります。
まず、不規則勤務による体力的な負担が大きく、夜勤や長時間の現場対応で体調が崩れやすい点は避けられません。特に女性は体力面で不安を抱きやすく、年齢を重ねるごとに苦労する人が多いです。
また、遺族対応や重大事件の現場に立ち会うなど、精神的につらくなる場面も数多くあります。性犯罪などの事情聴取では、相手のつらさを受け止めながら自分を保ちつつ、捜査に必要なことを聞かなければなりません。
さらに、男性職員が多い環境ゆえに、女性ならではの悩みや理解されにくい課題が生じることもあります。安定性はあるものの、心身への負荷は覚悟しておく必要があります。
まとめ｜女性警察官への道は難しくない！
女性警察官を目指す道は、決して特別な人だけに開かれているわけではありません。必要なのは、強さよりも「誰かの役に立ちたい」という気持ちと、少しずつ準備を続ける行動力です。
採用試験の勉強も、体力づくりも、面接対策も、一歩ずつ積み重ねれば必ず身につきます。
女性警察官は今、社会から強く求められている存在です。特別な才能は必要ありません。
準備をすれば、誰でも女性警察官になれます。重要なのは、警察官になることではなく、この先の人生、ずっと警察官であり続けなければならないという覚悟を持つことです。
私は退職しましたが、ずっと「元警察官」です。友達や親戚、ご近所さんに至るまで、私の肩書きは「元警察官」なので、それに恥じないように生活しています。
警察官という素晴らしい仕事に携われるよう、頑張ってください！
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