鑑識の仕事がしたい!どうやってなるの?元鑑識係員が解説!

警察関連
元鑑識
元鑑識

刑事ドラマでは「鑑識さん」が登場しますね。

刑事ドラマだけでなく、ニュース映像にも「鑑識」と書かれた作業服を着た人が映っていますね。
ドアや窓に粉を振って、刷毛でポンポンしているのが印象的。

職人さんっぽくてカッコいい!と思ったことはありませんか?

ここでは、元鑑識係員だった私が、

・どうしたら鑑識さんになれるの?
・鑑識さんってどんな仕事をしているの?

という疑問に詳しく答えていきます。ぜひお読みください!

鑑識とは?

事件現場で指紋や足跡、DNA資料を採取して分析することです。
これらの鑑識作業は、主に鑑識課員が行います。

鑑識課員とは、事件現場での指紋や足跡、DNA資料の採取を行う警察官のことです。

つまり鑑識さんは「警察官」です。

鑑識さんになるには?

鑑識課員は警察官なので、まずは警察官になることが必要です。
そして刑事警察を目指すことになります。

交通鑑識という分野もありますが、大規模な都道府県にしかありません。

小規模な県では鑑識は刑事警察の分野に所属しているので、刑事を目指しましょう。

下記記事では詳細を解説していますので、興味のある方はご一読していただけると幸いです!

鑑定官とは?

鑑定官とは、鑑識さんが採取してきた資料を鑑定する警察職員を指します。
鑑定官になるには、鑑定官の指導の下、数年間に渡る修行が必要です。

警察職員なので、鑑識を希望していたとしても、異動があれば鑑識から外れることもあります。

鑑識課員と鑑定官の違い

簡単に言えば、警察官と警察職員の違いですが、そもそも全く仕事が違います。

鑑識課員は現場で鑑識資料となる指紋や足跡などを採取する人

鑑定官は、鑑識課員が現場で採取してきた資料を分析して鑑定する人のことです。

例えば、鑑識課員が現場で指紋資料を採取した後、鑑定官が鑑定し、前科者の指紋と同じものがないか鑑定します。

鑑識課員と鑑定官が分けられている理由は、「公判維持」のため。
仕事を分けることで、裁判で弁護士に不要な追及を受けないようにしています。

そのため、鑑定官が事件現場に来て資料採取することはありません。

科捜研とは?

科捜研の●というドラマで科捜研職員が有名になりましたが、科捜研の職員も警察職員の中の専門職という枠で採用される一般公務員です。
専門職なので、厳しい採用基準が定められています。

科捜研職員にも様々な職種があり、それぞれ採用基準が違います。
詳しくは、希望する都道府県の採用募集ページを確認してください。
下記は警視庁のホームページです。https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/saiyo/2025/type/tech.html#section08

科捜研の仕事は、鑑識課員が採取してきたDNA資料や塗膜片、火災の残渣物などを調べること

現場に来て助言をする職員さんは時々見かけますが、科捜研職員も鑑定官と同じで、事件現場でDNA資料などを採取することはありません。

そもそも科捜研の職員は司法警察職員ではないので、捜査権がありません。
事件の捜査の一端に携わることはできますが、事件捜査や逮捕などはできません。
なので、科捜研の●はフィクションです。
科捜研職員が捜査をしていたなんてバレたら、事件はポシャって裁判すらできないかも...

鑑識さんの仕事内容

鑑識さんの仕事内容は、ニュース映像や刑事ドラマで見るものとあまり変わりません

犯人が触ったかもしれないところに粉を振り、刷毛で余分な粉を払い落として指紋が付いていないかを調べます。
器具を使って犯人の足跡がついていないか確認したり、犯人のDNAが残っていそうな場所を拭って調べたりもします。

このように書くと簡単な気がしてしまいますね。
しかし、振るう場所によって粉の種類を変えたり、足跡を探す方法を変えてみたりと、それなりに専門的な知識が必要です

また、犯罪を犯すと自分の容貌の写真や指紋を採取されることがありますが、それらを採取し、管理するのも鑑識さんの仕事です。

他にも細々とした仕事が山ほどありますが、ニュースなどで皆さんが目にしている活動が主になります。

鑑識活動でキツかったこと

熱中症

鑑識課員として現場で数年鑑識活動をしてきましたが、1番キツイのは、「熱中症」です。

鑑識課員は、
・長袖作業服
・長ズボン
・ヘアキャップ
・手袋
・マスク
を着用して、自分の皮膚片や髪の毛やツバなどで現場を汚染させないようにするためです。

常にこの格好なので、真夏の現場は熱中症になるキケンが!
身体に熱がこもってしまうので、気を抜くと倒れてしまいそうになります。
鑑識活動は時間がかかります。夏は汗だく、冬は寒さとの戦いです。

正解がわからない

刑事ドラマでは、粉を振ったら指紋が浮き出てくるシーンがよくありますが、現実はそんなに甘くありません
むしろ、ほとんど出ない場合が多いです。

指紋や足跡が出たところで、それが犯人のものなのか被害者のものなのか、第三者のものなのかは鑑定官が鑑定するまでわかりません

また、DNA資料は血液などを除いて目に見えないものなので、そこにDNAが付着しているかどうかは科捜研で鑑定するまでわかりませんし、鑑定には数日を要します

現場では、目に見える正解が少ないので、「これでよかったかな」と不安に駆られたことも...

刑事ドラマの中で、現場の刑事さんが「犯人の指紋やDNAが出ました!」というシーンがありますが、あり得ないのです。
このあたりがドラマだなーと思う瞬間ですね。

技術が進歩したら、ドラマのようなことが現実になるかもしれません!期待したいです!

まとめ

まとめると、

・現場で活動する鑑識さんになるには、まずは警察官になる必要がある
・警察官になったら刑事警察を目指そう
・現場で鑑識資料を採取するのは鑑識係の警察官
・採取された資料を鑑定するのは鑑定官の警察職員
・法医学や化学、物理などの専門大学出身は科捜研職員を目指せる
・鑑識さんは現場で指紋や足跡、DNAを採取するのが主な仕事

となります。

鑑識さんは、自分が採取した資料で犯人が特定されたときが1番幸せを感じることができます。
私も自分が採取したDNA資料が犯人のDNAと一致したとき、心で「やったー!」と思いました。
この達成感を味わいたい人は、ぜひ鑑識の道を目指してみてください!


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